2011年8月30日火曜日

小さいときから自然が好き

両親が京都から移って、滋賀県の近江平野のど真ん中で育った。のどかな田園風景である。春は、蓮華畑やアブラナ畑でかくれんぼをしたり、蛭に血を吸われながら小川で、どじょうをとる。夏は、近くの川で鮎を取るのもうれしくて、バケツいっぱい取ってきては、よく母に怒られた。さばいて料理するのが大変なのである。秋は、クヌギ林で木登りをしたり、田んぼの中で野球をしたり、缶蹴りや追いかけっこをし、その後、田んぼの稲わらの残り火で焼き芋をした。おいしかった。冬は自分で作った竹スキーや板スキーなどをして遊んだ。当時は、雪が多かった。子供のころ、自然に接して遊んで楽しかったので、自然科学者になろうと思っていた。
大きくなっても子供をつれてよく川に潜って引っ掛けなど鮎を取った、そのころには、大人で魚を取る人はほとんど居なかったのに。今でも全国をまわって、地質調査を続けている。調査を終えた夕方、きれいな川で泳ぐことが楽しみだ。四万十川や遠野川は特に覚えている。ただ、どこでも川や里山から子供が少なくなった。人が自然に触れる機会が減っている。子供のころから自然に親しみ、自然の摂理や科学を身で感じて欲しいと思う。大きくなって必ず役に立つはずだ。

2011年8月28日日曜日

自転車

 鶴見川の土手を自転車で行くのも心地がよい。街中から上流に向かうと途中にWカップの決勝戦をやった大きなスタジオが見えてくる。よく観戦に来るところだ。いつも自転車で会場にいく。贅沢といえば、贅沢である。スタジオを過ぎると川の周りに畑が広がるようになる。私の好きなスポットの1つだ。横浜線と併走するあたりも良い。近くにララポートが見えてきたら、そろそろ引き返しである。ちょうど半日くらいのサイクリングであるが、1人の世界でリラックスにちょうど良い。
 町の中に、残されたオープンスペースは、川沿いか広い公園しかない。

2011年8月26日金曜日

技術士を継続するには

 今のところ、難関の技術士を一旦取れば、よほど悪さをしない限り資格は継続される。でも、それでよいのだろうか。技術士の資格は出発点で、それから技術の研鑽を続け、自分は何が出来るのか、何をやりたいのかいつも考え続けないといけない。継続は力であるが、努力がいる。それが出来ない方は、技術士を受けないほうがよい。我々はプロなのだ。アマチュアの技術者とは違う。
 そして、時に広く、時に深く技術力を磨かないといけない。今、自分の専門分野はどのような位置になり、どのように進化しようとしているのか、日進月歩の技術を把握し、あるときはその先端にいないと意味がない。
 確立した技術や技術マニュアルに固執する技術者は、多い。それを否定する訳ではないが、それは、知っていて当たり前。本当の科学技術の解決はそれでは出来ない。複雑な現象を取り扱う場合や、未知の現象が起こることもある。それをどのように解決していくかが、本来の技術士の役割といえる。
 そのような問題を解決した時、本当に技術士でよかったと思う。

2011年8月24日水曜日

暑かった技術士の試験

 技術士の試験はむつかしい。今は、かなり緩和したが、昔の技術士試験は、大学を出て7年の修行が必要で、試験は、暑い8月、冷房のない教室で1日受験。水筒・うちわ・手ぬぐいが3種の神器でプラス愛妻弁当があればさらによい。答案用紙に書く分量も半端ではなく、手が止まったらおわり、ひたすら升目に文字を埋め続けないといけない。しかも、その内容がわかりやすく、論理的で、最新の技術内容を盛り込んでいないと合格しない。後日、筆記試験の合格者のみに口答試験があるのが厄介だ。最後の関門の口答試験で落ちると、暑い筆記試験からまたやり直しである。何で!といいたくなる。
 さてさて、私も何度も辛苦をなめた。技術士試験は、専門分野ごとに受けるのが鉄則で、お医者さんや弁護士さんのように受かればその分野のすべての資格を得るものではない。それで、他の技術分野にも興味があり、資格を取ろうとすると、また、1からその分野の試験を受けることになる。
 もう2度と試験は御免という気になる人が多い。私もその気でいたが、さらに3回受験することになる。
 咽元過ぎると暑さをわすれるとはよく言ったものだ。あっ!熱さの間違えか。真夏の試験はもういやである。

2011年8月22日月曜日

技術士ってなに

そろそろ、技術士の話をしようか。
皆さんは知らないと思うが、技術士って縁の下の力持ちで、大変な仕事をばりばりこなす優秀な人が多い。司法試験と同じ難しい技術士試験という国家試験を通って来た人たちだ。つまり、科学技術のエキスパートで、国家がそれを認めた人である。なかなかのものでしょう。
 そもそも技術士法では、こんな固いことが書かれている。いわく。「技術士は、優れた技術力を持つだけでなく、技術士の3つの義務①正確な名称表示、②秘密保持、③信用失墜行為の禁止と2つの責務①公益の確保、②自己啓蒙を守りなさい」。専門分野は、21部門あり、合計8万人くらいの登録者がいる。国内の似た技術者として、30万人くらいが登録している1級建築士がおられるが、技術士は、1級建築士より少数精鋭といえる。技術立国日本の約240万の技術者の目指すべき資格として、先鋭のみが選ばれた状況であろう。
 さらに、欧米・アジアなどの外国の技術資格(プロフェッショナルエンジニアなど)ともリンクしており、海外で技術の仕事をするときには大変役に立つのです。
 これで、皆さんも「技術士」を知ってもらえましたか。是非、お子さんにも進めてください。

2011年8月20日土曜日

いろいろな弁護士さん

 相談のなかで、いろいろな弁護士さんにあって、今でも長い付き合いの人もいるし、こちらから相談に乗ってもらうこともある。自分の知らない世界を垣間見られる専門外の見識のある人と接するのは好きだ。
 もともと、郷里の友人が法学部の教授で懇意にしており、その関係での弁護士さんの付き合いもある。私の所属するいろいろな学術学会に呼んで、意見交換させていただくことも多くなった。一概に、弁護士さんといっても、いろいろな方がいることがわかってきた。当たり前である。どうしても、肩書きを見ると、資格をみて堅い人と判断してしまいがちである。気さくな方、大変まじめな方、少し威張った方。弱気な方。弁護士さんの中にもいろいろな専門があり、話をしていると何が強いのかもわかってくる。
 俯瞰してみると、皆さんのみ込みが早く、優秀である。さすが、司法試験の合格者だと頭が下がる。

2011年8月18日木曜日

裁判

 最近ではいろいろな裁判に係わることが多くなってきた。社会資本整備という本当に堅い仕事をお手伝いし続けて30年以上。道路・鉄道・河川・電力線・上下水・電話線などのライフラインの建設やメンテ、大型施設の建設やメンテ、地すべり・崖崩れ・土石流・地震・火山噴火などのいろいろな自然災害の調査や対策の立て方、森林整備や環境保全などよくやってきた。自然災害が発生したときは、待ったなしで、翌日には現場に直行したこともある。
 合間を縫って入ってくる裁判の仕事は、手間隙はかかるが、刺激的で知識も増える。ここのところ、都内や鎌倉、横浜、町田、中国地方などの訴訟の意見書・鑑定書を書いている。科学的に正しいことしか書かないので、うまく行くとき、残念なときもある。自然はうそをつかないし、何事も勉強である。
 最近、技術者もひとつのことにこだわっていると大きくなれないような気がしている。私も地質を出発点して、土木技術から防災技術、環境技術そして総合監理技術へ専門を広げている。自分のコア技術は忘れてはいけないが、専門を広げる努力も必要である。

2011年8月16日火曜日

鶴見川を走る

 久しぶりに、余裕が出来たので、夕方暑さの収まった鶴見川の土手を走る。周りは住宅地や工場であるが、川沿いには風が走る。正面には遠く丹沢山系と富士山がかすかに見える。夕日に映える。振り向けば、東京湾の向こうに満月の月が出始めている。気持ちが良い。頭が白紙になる。
 走るといっても、ぽたぽたと行く。無理して走ることもするが、長続きはしない。土手には多くの人が走っている。年配のランナー、スポーツ青年、アベックでの併走。それぞれマイペース。川ではカヌーが走り、ボラが川面を跳る。土手には、サルスベリやカンナが咲いている。夏だ。
 小さい時からサッカーをやっていたので、走るのは苦にならない。夕暮れ時の風景も好きだ。田舎で日が暮れるまで野山を駆けた記憶が戻ってくる。2時間くらい走って、鶴見川を望む高台でシャワーを浴びよう。

保険

 保険会社からの相談もあった。大雨で崖が崩れて下の家が壊れてしまった。家の損害保険のオプションで支払いに応じる可能性が出てきたのだ。もちろん、崖の所有者は保険加入者で崖の上にお住まいである。支払いに応じるには崖の管理責任を問うことになる。保険会社も家のことはわかるが、地盤、特に崖のことは皆目検討が付かないようである。都内の弁護士さんと事件がおこった地方都市の弁護士さんが問題解決にあたっていた。
 とにかく、新幹線で4時間かけ現場を見ることにした。私は、いつも現場主義である。回答はいつも現場にあり、それを見つけだし、解き明かしていく。いろいろと地盤や気象・地形・地質・土地利用などを調べていくと大体の方向が見えてきた。
 これも裁判になっていたので、意見書にまとめて裁判所に提出した。要点は、豪雨は記録的なもので、人の管理が及ばないものである。地形・地盤的に水の集まりやすいところで崖だけの管理責任は問えない。ということである。
 しばらくして、意見書のおかげで、支払いはかなりの減額で済んだという知らせが来た。
 自然を相手にしていると、どうしても人智の及ばない事象に出くわしてしまう。それは、免罪符にしていけないが、科学の進歩と人の生き方の交差点で歩みを止めてはいけないのだろう。

2011年8月14日日曜日

造成地


 そういえば、地元川崎でも、相談があったことを思い出した。大学の立派な先生から話があって、地元でもあるし一緒伺うことにした。相談者は、大学を退官されたご夫婦であった。長く住んでいる家の下は崖になっているが、クヌギ林でたいそう景色が良いのであるが、ここが造成されて住宅地に変わるらしく、崖下で工事が始まっている。造成の影響で我が家が危険になると心配して工事の中止を訴えていた。
 裁判がうまく進まず、困っておられたので、今までの資料を見せてもらって相談に乗った。何度か弁護士事務所に伺って、大学先生と一緒に意見書の作成や裁判所での証言などのお手伝いをした。
 裁判は、時間が掛かるし、いろいろと面倒なことが多いが、いたしかない。地盤の難しい式も使わないといけないときもあったが、今回の弁護士さんは、なんと理学博士の肩書きも持っておられて、数式をすぐに理解する。なんとも頼もしいものだ。
 裁判も終盤に差し掛かってきたが、裁判官にはなかなか理解してもらえないようで敗訴となってしまった。残念だが、実際に崩れが起こっていない崖の危険性を争点としなければならなかったことが、つらいところである。崩れが起こってしまえば、勝てたと思うが、そんなことが起こらないに越したことはない。いたしかゆしである。
 それにしても、弁護士と理学博士を両方持っている人ってどんな勉強をしたのだろう。感心至極である。

2011年8月13日土曜日

崖崩れ

 そういえば、ここのところいろいろな相談があったなー。
そうそう、横浜郊外の崖が崩れて周辺に迷惑が掛かって、困っているというのがあったなー。人の良い年配のご夫婦からの相談だった。すぐに現場に駆けつけて、崖を見たときの衝撃を思い出す。崖の下の家は浮き上がって傾いているし、崖の上に段差ができ、崖の上の家は崖に引っかかっているように傾いている。
 崖全体に湧水も多く、地下水が高そうで、単なる崖崩れではないことはすぐにわかった。ご夫婦に挨拶をし、崖がご夫婦の土地であることを確認したうえで、すぐに崖だけでなく斜面周辺を調べることにした。
なぜかというと、地下水が高くて、崖下が盛り上がり、崖上に段差が出来るのは地すべりの特徴である。地すべりは、崖崩れと違って、崖だけを保全してもどうにもならない、周辺斜面全体の土砂災害である。さてさて、歩き回った結果、予想したように崖を含む斜面全体がすべっていることがわかった。
ご夫婦に内容を説明したところ、弁護士さんのところにこれから一緒に行ってもらえないかという。まあ、良いですよと、車で15分くらい掛かって弁護士さんの事務所に着き、事情を説明した。実は、裁判になっていてご夫婦が被告になっているという。いろいろと雑談をすながら裁判所に出す意見書を書く約束をして、事務所を出ようとしたが、この事務所がどうして、急な崖の上に立っている。近くに海が見えて大変景色が良いのであるが、地震が来たらどうなのかなーと要らない心配をした。
後日、裁判の審議のなかで、崖崩れは地すべりであり、関係する住民全体で斜面を保全するという和解が成立したと聞いた。その後、このご夫婦や弁護士さんとの付き合いは続いている。
土地を持つのは資産と考え勝ちだが、悪い土地を持つことは、負債を持つという時代になってきたのかなーと思えてならない。

2011年8月9日火曜日

おばあちゃんからのメール

 メールが来た。若い娘さんからである。田舎のおばあちゃんが突然裁判に訴えられて困っている。助けてくださいという内容である。すぐに話を聞いて東京郊外のおばあちゃんところに行くことにした。


ひとり暮らしのおばあちゃんのお家は簡素な農家で、裏山に畑を持っている。ここから土砂が出て、隣のおうちに迷惑が掛かっているという説明。一緒に急な坂を登って裏山に向かった。おばあちゃんは元気。先導され、到着した畑はきれいであまり土砂が出ているように見えない。
ところが、畑下の崖を見ると湧水跡を示すパイピングホールがあり、崖を削って土砂を吐き出した跡のガリーが出来ている。ここが悪さをしていますね。この崖は、おばあちゃんのものと聞くと、いいえは他人のものと平然と言う。

あらあら、じゃあ、おばあちゃんに非はないよ。安心しなさいと言うことで一緒にお昼ご飯をいただいて、かえった。
至急に、裁判所宛の地盤意見書を書いて送っておいた。少し間があったが、裁判は相手が訴状を取り下げて難儀はなくなりましたという御礼の連絡が来た。いつもの道路や河川などの固い仕事の合間の問い合わせであったけれど、やってよかったなーと。深夜の事務所で一息ついた。