2012年4月18日水曜日

夜話の続き

さて、新年度になり、川崎では桜も咲き終えました。
大きな自然災害が続いて、東日本大震災から1年を過ぎました。いろいろな地盤の相談も多くなっていきています。そこで、気持ちも落ち着いてきましたので、家族のための地盤の話をして行こうと思いました。
これまで、連載してきた技術士夜話はひとまず休んで、断続的に気が向いた時に書き足すことにします。
その代わり、これから、もうひとつのブログの「家族のための地盤のはなし」を書き進めます。こちらのほうも読んでみてください。
そこでは、まずは、危ない土地と安全な土地の話をします。地震や豪雨、火山噴火、津波、雪崩、洪水などの自然災害に強い土地と弱い土地があります。さらに、普通に暮らしていても、どうも地盤が傾くなどの現象が起きる土地があったり、隣で工事や造成が始まり家の地盤が少し変になったと感じる地盤もあります。それは、この土地がどうして出来たかを調べるとわかってきます。はじめに、代表的な危ない土地の話をいくつかします。
 その後に、皆さんには、ダーツの旅にでてもらいます。日本地図にダーツを投げて、当たった土地の安全性や危険性の話をしていくつもりです。どこに当たるかわかりませんが、一緒に旅を続けましょう。

2012年4月7日土曜日

メールが入った裏山から土砂が

  メールが入った横浜の市民からだ。裏山から土砂が来そうで家が危ない。
すぐに、現場に行かないと。もうすぐ梅雨だ。大丈夫か。葉山でも崖の安全点検をやっているが、それも見てこようか。

2012年4月4日水曜日

環境地質学を目指して

 いろいろとやってきたが、最終的には環境地質学を目指してもう少し考えてみたい。環境地質学は地質に関連した総合科学で、人や生活に役に立つ技術や科学である。対象とする分野は広いが、役に立つことも多いのでやりがいがある。

2012年4月2日月曜日

子供が巣立つ

  子供2人が大学を卒業し、2年前に無事社会人になった、就職氷河期にたいしたものである。それぞれ自分でよいところを探してきた。大学で北海道に行っていた娘が再び同居し4人家族に戻ったが、しっかり社会人している。娘は動物の医者、息子は人間の医者、私は地球の医者で一番えらいといっている。子供と女房は笑うだけである。
息子も娘も夜でも患者・患畜の具合が悪いと病院に出かけていく。私も地球で災害が起こると出かけていく。同じである。立派なものだ。

2012年4月1日日曜日

技術士仲間との楽しいお酒

技術士会での講演、技術士だけでは起業できない。環境地質学とはなどを行った。技術士会にとどまらず、技術士と話していると面白い話題が多く話は尽きない。特に、お酒が入ると楽しさも倍増する。もっと、日本や世界の技術のことを勉強していこうと思う。

2012年3月30日金曜日

市民に役立つ技術士へ

  ダムや道路や鉄道などの公共物の地質や環境を調べてきたが、最近では市民に役立つ調査や相談が多くなってきた。日本が、成熟してきて社会資本の整備が整ってきたのか、国の予算がなくなってきたのかどちらかであろう。しかし、市民に役立つことをすると気持ちが良い。本当に困っているからで、それを解決すると感謝される。ダムや道路や鉄道などではスケールは大きいが、与えられたことや解決しても何か将棋の駒のような気がする。

2012年3月28日水曜日

地盤リスクマネージメント

 総合技術監理部門の技術士には,経済性管理・人的資源管理・情報管理・安全管理・社会環境管理の総合的な技術監理が求められる。技術は,突発的な災害リスクや施工時のリスクなど様々なリスク・責任の一端を担っている。その対応のしかたとしては,技術的な解決だけでなく,関係者間の調整や保険・補償・法令・裁判を含めた解決を余儀なくされることがある。こうした中で,技術は,調査・設計・施工・維持管理時などの様々な機会に地盤リスクを実務の中で解決していかねばならない
 問題等が発生したら現場に出向いて確認する姿勢が大切である。地盤リスクについて適確に対処するのみならず,狭い専門分野にとどまることなく,広く市民に向かって貢献していくことも求められている。これが、総合技術監理部門の技術士の仕事である。

2012年3月26日月曜日

治山事業

流域の総合治山の調査を行い,先に述べた研究成果を取り入れて,山地荒廃状況に合わせた治山計画を立案した。いずれの地域も根系層崩壊を発生させる地盤特性があり,これらの地盤に適した実務的な治山施設の配置や森林整備の方法について技術的な検討を行った。
 森林整備には長期的な視野に立った検討が必要である。今後,森林植生と人工構造物についてその適用性を考慮し,総合的な減災・防災計画を検討していくべきであろう

2012年3月24日土曜日

植生による斜面安定

 我が国の斜面崩壊の90%をしめる表層崩壊について,根系の緊縛効果と杭効果が,防災対策になっていることがある。根系を含めた表層斜面の安定を工学的に評価する手法として,粘着力合算法を提案した。この手法により,根系層崩壊の発生メカニズムを求め,森林根系が表層崩壊防止にいかに寄与できるか工学的な解釈を行った。その1つに、土層検査棒による調査と鉄根打設工法による対策工の開発があった。森林部門の技術士の仕事の1つである。

2012年3月22日木曜日

建設事業

建設工事では切土中にすべりが発生したり,山留め工が変形することがある。その際,的確な地盤情報を入手する調査を行い,その対策案をすぐに提案することが求められる。また,現場作業では,周辺の生活環境にいろいろな影響を与えることが多い,地盤工学の技術はこれらを解決するものでもある。たとえば,建設現場の周辺の地盤が沈下した際,その理由を地盤の地質構造で解決した。
 さらに,臨海部の工場の地盤が隆起した際,その原因を地盤内の特殊な鉱物にあることを突き止め解決した。このように,建設事業に係わるいろいろな相談事が寄せられ,それらに対応するのが、建設部門の技術士である

2012年3月20日火曜日

風変わりな地すべり対策

地すべりの調査は多くやった。この中で、急を要したちょっと風変わりな事例を紹介する。道路切土をしていたところ、切土上方の斜面にクラックが入り、段差が出来てきた。明らかに地すべりの兆候である。すぐ工事をやめ、切ったところに押さえ盛り土をしてとめた。しかし、道路は作らないといけないので、押さえ盛り土は除去しないといけない。調査をして地滑すべりの原因をしらべた。すると切土背後の地下水が異常に高い。不思議である。踏査すると。粘土化した貫入岩が道路と平行して分布し、その背後にたくさんの地下水があることがわかった。
地すべりには、いろいろな対策があって、土を動かしてとめる。水を抜く。杭やアンカーの構造物でとめる。このときは、水を抜くことで止められるのでないかと考え、ためしに、重機で道路に平行してすぐ山側地下に伸びている粘土化した貫入岩を、道路に直交方向に貫入岩を切るように掘ってもらった。すると大量の地下水が出て、地すべりが再度動き出すことはなかった。
経済的で簡便な地すべり対策であった。

2012年3月18日日曜日

地下水の影響

トンネルを掘るとが起こることがある。特に、トンネル掘削中は邪魔になる地下水を意識的に抜くのでなおさらである。日本で近代的なトンネル掘削のさきがけになった丹那トンネルではトンネル直上にあった丹那盆地の井戸や河川水が涸れ、大きな問題になった。当時、そのような事例は少なく、井戸枯れがトンネル掘削に原因があるとわかるまで多くの時間を要している。その後のいろいろな経緯はあるが、現在はトンネル掘削では、事前に河川水量や井戸水の調査を行い、その対応をすることになっている。トンネル掘削後はある程度地下水は戻るので、水涸れは緩和する。
では、地表にある植物はどうなるか、今のところトンネルを掘って木が枯れたという話は聞かない。植物は天水から供給される土壌の中の水を使っているので枯れないのであろう。

2012年3月8日木曜日

メコン川を泳ぐ

 タイの森林破壊の環境調査に行った。タイ東北部の高原地帯で大きな都市はないが、メコン川が流れている。高原を削って流れる流域で水は比較的きれいだ。メコン川の河岸のホテルに泊まった。熱帯雨林の中に忽然と現れたホテルである。ホテルのプールで泳いだついで、隣のメコン川に飛び込んだ。大きな鯰が取れるという。魚は、見えなかったが、面白い経験であった。
 タイの首都のバンコクのメナム川はさすがに泥水で、時々ワニを見かけた。地元の子供たちは泳いでいたが、さすがに遠慮した。

2012年3月6日火曜日

トンネルの地質

トンネルを堀る時、地質を調べるのが重要である。なぜか、トンネルの掘りやすさ、堀にくさがわかるし、致命的事故を事前に予測できる。致命的事故とは、切羽(トンネルを掘っているまさに最前線のところで、ここが一番危ない)の崩壊や突発湧水である。また、トンネルから恒常的にどれくらい水が出るかも大体予想できる。
 地質調査をしても実際に掘ってみると調査予測がなかなかあたらないという苦情をよく聞く。1つは深い地質情報を地表付近の情報からなかなか予想がむつかしいということ。2つ目は、変動帯の地質構造は複雑で、なかなか把握できないといくこと。3つ目は、外れているといったほうが、トンネルやさんの儲けが増えることが多いなどである。
 2つ目については、地質技術に関することなので、少し掘り下げる。やわらかい岩の中にランダムに堅い岩が出現する混在岩についての知識はトンネルやさんにもかなり浸透してきたが、深くにあるやわらかく水の出やすい低角度断層を伴うデュプレックス構造はまだ、あまり知られていない。このような変動帯特有の、トンネル工事を惑わせる地質構造などを今後紹介していくべきであろう。

2012年3月4日日曜日

マムシと目が合う

山を歩いていると、蛇にはよくあう。2m近い青大将は山里に多く、ヤマカガシは山、特に、沢そいでよくあうが、そういやではない。いやなのが、マムシである。山里にも山の中にもおり、大体休みたいなと思うようなところにいる。ガレ場や水場の近くである。歩いたいた足元のすぐ近くにいたこともあるが、大体踏まないがぎり大丈夫である。とぐろを巻いているとき、子持ちのときは要注意である。かなり攻撃的であるので近寄らないようにしたい。
 あるとき、15mくらいの崖を登りきって、崖上に顔を出した際、ちょうどそこにいたマムシと目があった。これにはびっくりしたが、そーっと崖下に退散して、難を逃れた。マムシはこわい。

2012年3月3日土曜日

ウサギの反撃

山の中を調査しているといろいろことがある。日本でも有名な地すべり地を調査していたとき、狭い沢を露頭を探して歩いていた。するとウサギが飛び出してきた。ウサギには面白い習性がある。1回目に物音を聞いたときには、じっとして動かない。2度目に物音があるとそのとき、見つかったと思い脱兎のように逃げる。山で23度そのような経験をしている。猟師さんは、その習性を知っていて、一度わざと物音をたてて、ウサギをとめてから仕留めるそうだ。
 今回は、どうも1度目の物音を立てたとき、こちらが、ウサギを見つけられなくて2度目の物音を立てたときウサギが飛び出し逃げていってようである。私は猟師でないのでウサギを捕るつもりはないので、なんとはなしに露頭を探しながら、さらに狭い切り立った沢を降りていった。
 すると、突然、砂防ダムが現れた。両岸絶壁で正面に5mくらいの砂防ダムである。ウサギは、その砂防ダムの隅っこに身を縮めていた。ちょうどそこに、調べていた露頭があり、地質調査をしないといけない。ウサギを捕るつもりはないが、そこに近づいていった。逃げるかなと思っていたら、2mくらい近づいた時、私に向かってダッシュしてきた。とっさであったので、びっくりし身をよけた。ウサギはそのまま、狭い沢を脱兎のごとく上流に去っていった。
 さてさて、私は、待望の露頭を前にして地質調査である。窮鼠猫を咬むはありである。

2012年2月26日日曜日

人形峠

 人形峠と聞いて、ウラン鉱の里とわかる人は少なくなった。岡山県と鳥取県の県境にある峠である。ここに、ウランが濃縮した地層がある。日本では、ここと、岐阜県の東濃地区の2箇所である。ウランはもともと花崗岩などに入っている。今、問題になっている自然放射能の高い低いが地域によって違うのは、この花崗岩によるところが多い。ウランの鉱山になるためには、ウランの多い花崗岩が風化し、水に流され、堆積物として濃縮しないといけない。世界のウラン鉱山もほとんど、そのような成因である。このウラン鉱山跡の地下水移動をしらべた。日本の未来を託した鉱山も汚染の問題にさらされる。なんともやりきれない。すぐ近くの三朝温泉は放射能の効用をうたって有名である。
 日本には廃鉱が多いが、その跡地調査もいろいろとやった、廃坑を利用した石油備蓄など、リユースの考え方をいろいろな分野で考えたい。

2012年2月22日水曜日

オープンクラック

 岩盤の調査をしていると、オープンクラックが問題になることがある。川に水を溜める施設の調査をしていた。サイトの河岸が出尾根状の地形をしていた。何だか心配であったので、ボーリングと試掘坑道を掘った。岩盤がぱっくり開いたオープンクラックが出てきた。このオープンクラックがどうして出来て、どこまで続くか調べないといけない。
 そうしないと、水が漏れて水がたまらない。たまったものではない。
 クラックにバスクリン入れて、どこに出るかいろいろと見て回った。そうすると大体斜面の出尾根の範囲に収まった。つまり、出尾根部は重力で斜面に沿ってずって岩盤にオープンクラックが入っていることがわかった。
理由がわかれば、対策は出来る。ひとまず、一件落着である。

2012年2月20日月曜日

温泉開発

温泉を出して欲しいというの相談もあった。元々温泉宿であったが、湯量が減ってきて困っているとのこと。大学の先生にも相談したが、ここを掘れというだけで調査費用を持っていく。もう少し科学的に説明して欲しいという依頼である。
 すぐに、現場を歩き回って地質の分布、地質構造を調べた。その結果から、水理学的考察を行い温泉の出そうなところを決め、宿の方に説明した。粘土のある断層・岩盤の開口割れ目系・褶曲構造の交差・大小地形特性などを用いてここしかないよと結論した。たいそう納得してもらって、すぐに温泉井戸を掘って欲しいということになった。費用は何千万である。了解してボーリング機械を手配しようとしたが、うまく空いている機械がなく、少し待ってもらっていた。
 1ヶ月くらいして、温泉宿から連絡があり、ここがよいといわれた箇所を試しに重機で掘ってみたら、温泉がでたという。まさか、そんな表層で温泉が出るとは思っていなかった。何百m掘ってあたるかどうか心配であったのだ。なにせ、温泉はみずものである。あたらないこともある。とりあえず、よかったですねと答えたが、何千万円損をした格好である。技術力がありすぎるのも時に損をすることがある。その宿からは、一泊無料の招待状がきた。これでよしとすべきであろう。

2012年2月18日土曜日

水開発

国際的には水資源は、貴重な資源でそれによって戦争も起っている。日本では、きれいな水が豊富にあり、水に対する欲望が比較的少ないように思う。水道水がそのまま飲める国はすくない。その、日本でも渇水年には、水の取り合いになる。平成6年の渇水は厳しかった、四国の早目浦ダム底が見えたほどだ。水開発では、ダム・井戸などを計画することが多い。ダムの話は後にして、どこに井戸を掘れば、良い水がたくさん取れるのだろうか。
広域に地形・地質を調べて、大体の候補地を選び、ここと決めた位置で、電気探査やボーリングをして可能性を探る。いけそうであれば、実際の井戸を掘って揚水試験などで実用性を確かめる。私もいろいろな水源の調査をし、成功例のほうが多い。谷出口の礫質な地盤はまあ良好だが、なかなか質の良い水を必要量とる井戸を探るのはむつかしい。

2012年2月13日月曜日

岩盤の水

岩盤の水は難しい。水資源を岩盤内の地下水から求めるには工夫がいる。ある大きな盆地で新しい井戸の開発計画があった。谷出口の厚い礫層の開発はほぼ終わっていたので、それより上流の岩盤に水源を求めた。ちょうどころあいの断層があったので、その断層を抜くことにした。
断層といっても粘土だけの断層や、割れ目の多い断層があり、割れ目の多い断層を抜くのがよい。しいて言えば、水を取りやすい被圧しているのがよく。深い水は、ミネラル分も多く、水質も良好なのが良い。基盤が花崗岩などは水質が良く最適であろう。要求される水量を確保できる井戸を掘るには、事前の調査や経験が必要である。

2012年2月9日木曜日

地下ダム

地下ダムとは何でしょう。ダムは、川をせき止めて貯水池を作るが、地下ダムは、地下水をせき止めて地下に水を貯留する。新しい考え方のダムで、周辺環境に与える影響も少なくてすむ。現在運用されている宮古島の地下ダムは農業用水ではあるが、現地にいってもどこにダムがあるかわからない。ここでは、基盤の水を通さないで泥岩の上に載っている空隙の多い琉球石灰岩を貯留層にしている。成功例であろう。
水の足らないところは、島嶼部や半島部であり、大きな川がなく川に水をためにくいので、渇水年になるといつも困ることになる。房総半島では、利根川の水を延々館山あたりまでひっぱっている。長崎県の半島部では地下ダムの実証試験が行われた。私の係わったのは瀬戸内の島で、実用化できないかということである。いろいろ調査したが、地下水のためやすい川の下流部では、元もと地下水が高く、水をためる容量が少ない。また、海に近いと地下の塩水化の問題もある。川上流部のダムと連携利用すれば、何とかなりそうではあった。その他、全国の地下ダム適地の検討も行ったが、なかなか良い適地がなかった。
発想は良いのであるが、実際の自然条件はむつかしい。

2012年2月6日月曜日

タトラス山地の裂け目

 山の尾根を縦走していくと、時に尾根がとなりあわせで2つ並んで走っているところがある。これは不思議である。山は削られるので先のとがった一筋の尾根が延びるのが普通だからだ。なぜだろう。差別侵食か活断層かいろいろと原因はあるが、尾根が避けて尾根ごと滑り出しているのが多いことがわかってきている。我々はこれを2重山稜と呼んでいる。タトラス山地を縦走したとき、まさにこの裂け目を見ることが出来た。ここは、2重山稜を始めて認識した場所でもある。
この2重山稜は世界中や日本でも良く見ることができる。2重山稜は最近話題になっている深層崩壊の赤ちゃんでもあり、大規模な斜面崩壊を考える上で重要な地形といえる。

2012年2月4日土曜日

ネパールの世界の屋根

ネパールには、よく行った。なんといっても世界の屋根である。なかなか高い山へはいけないので、カトマンズ盆地やポカラ盆地から白い峰を眺めるだけであるが、壮観である。
フライトでエベレストを真近でみたが、すばらしい。
この世界の屋根が、気象上日本の梅雨を作り出し、日本海の豪雪の原因となっていることが最近わかってきた。最近起こっている中国の地震もこの屋根を作ってきた力が横にはみ出したものである。鶴の仲間もこの屋根を越えて渡りをするのであるが、さぞ大変であろう。気候といい、地殻変動といい、生物にとっても、大きな影響を与える世界の屋根である。

2012年2月2日木曜日

ネパールの応用地質

ネパールでの調査を5年間程度飛び飛びに行った。道路斜面のハザードマップや世界遺産の斜面保全,地震防災の問題である。大学の研究に参加させていただく格好であり,その中で国際会議の発表や座長などもさせていただき大変勉強になった。ネパールでの友人も増えた。ネパールは日本とよく似た地形・地質の山国で,日本の地質防災技術は大変に参考になることがわかった。もちろん高価なハードの対策技術は難しいが,フトンカゴや植生を考慮した斜面安定技術,あるいは減災のためのソフト技術はすぐにでも使えると判断した。

2012年1月31日火曜日

岩盤物性

次の課題は多様の地質の物性値を求め,1つの構造物に対する統一の岩級分類に組み入れることである。異なった地質で多くの力学試験を行い統一した岩級分類を作ることができた。
岩級分類については,地上の岩盤だけでなく,海底の岩盤についても,大水深の海底で可能な物理探査などを開発し,個別の物性値から岩級分類を決めるシステムを考案した。その成果は本四架橋の海底岩盤の岩級分類に適用した。

2012年1月29日日曜日

衝上断層

出張が続き少し間が空いてしまった。さて、本題。
あるところで古生層の硬岩に中生代の火成岩が貫入し,これらを不整合に新第三紀層が被うが,一部新第三紀層の上に古生層の露頭も見つかっていた。複雑な地質構造の地盤に大規模なコンクリート構造物を建設する事業である。地層分布やその物性値をいかに把握するか工夫した。特に,山地の上位には古生層が分布しているが,山地下方には新しい地層である第三紀層が分布している。その境界は不整合関係だけではどうしても解決しない。山の上でボーリングをさせてもらい古生層のコアが深い位置で断層を境にして新三紀層に変わるのを確認した。つまり,ここでは衝上断層が位置し,古い地層が新しい地層に乗り上げているのである。これは,大きな成果であった。

2012年1月12日木曜日

技術士の仕事

  さて、新年も迎えてそろそろ技術士の仕事の実例を話さないといけないように思う。守秘義務があるので、話せる範囲で大雑把に話して行きたい。はじめは応用理学に関するものがよいだろう。まずは、地質踏査から始める。現地を歩くいろいろなことがわかってくる。もちろん対象となる施設が建つところは入念に歩くが、地質構造や地質の分布の仕方をもっと広き範囲を歩かないとわからないもので、その勘所が重要である。

2012年1月10日火曜日

紀伊半島豪雨災害

 2011年9月末に、紀伊半島豪雨災害が起こった。連続雨量で2000mmに近い猛烈な雨が紀伊半島を襲った。明治22年の十津川土砂災害に匹敵する。この災害では、住民の多くが、村を去って北海道に渡った。今の新十津川町である。
 今回の災害もそれに匹敵する規模であった。特徴は、大規模崩壊と堰止湖の発生である。2次災害の危険があり、住民被害が長引いている。また、河川内に大量の土砂が流入し、洪水と土砂災害の複合災害が起こったところもあった。また、大規模崩壊がメランジといわれる割れ目の多い流れ盤岩盤で起こっているのも特徴といえる。今後の課題である。

2012年1月8日日曜日

東日本大災害

 皆さんも強烈な記憶があるように2011311日に、東日本太平洋沖地震が起こった。この地震の影響や今後の課題についてはもう少しゆっくり話したい。その日、都内の駒場にいて、建物の屋根が大きくゆっくりと揺れた。状況を見ながらとりあえず事務所に帰ろうとしたが、電車が動かない。結局6時間15分かけて歩いて事務所の川崎に帰り着いた。
 職員は全員無事を確認できてほっとしたが。東北地方を中心に甚大な被害が出ていた。
現地調査は、すぐには現地に入れなかったので、地元の川崎・横浜・千葉・東京をの湾岸部を調査した。液状化の調査である。
 3月末ごろから4月にかけて、現地に入れそうなので、福島中南部と那須地域の調査と、312日に誘発地震が起こった長野県北部地震の現地を見た。福島県南部はその後4~5回調査した。これは4月11日に起こったやはり誘発地震の調査のためだ。年内には岩手・宮城県の調査も終えた。大変な災害で、成果をいろいろな学会で発表中である。
 これからの日本列島の地殻変動がどのように推移していくか心配である。

2012年1月5日木曜日

新燃岳の噴火

 20111月に新燃岳が噴火した。3月にはもっと規模の大きな自然災害が発生したので調査が遅れたが、年内に現地調査をすることが出来た。噴出した降下物は、軽石や粒の粗い火山灰のため、2次災害となる泥流や土石流の発生が少なく。被害は収束に向かっているようであった。ただし、地下のマグマの補充は今でも続いており、2012年に再噴火するかもしてない。注意深く見ていきたい。

2012年1月2日月曜日

山北豪雨災害

 20109月、神奈川県東部でも集中豪雨による斜面災害が起こった。
表層崩壊が多く、土石流も多かった。東名自動車道路も1時通行止めになった。
地質的には斜面表層に分布する富士山の宝永噴火のスコリア層が流出する斜面が多かった。スコリア層は砂状なので多量の流水や地下水で容易に流出することがわかった。今後とも、御殿場から神奈川県東部にかけて斜面表層に分布する宝永噴火のスコリア層には要注意であるが、富士山が新しく噴火しないことを祈りたい。