2012年3月30日金曜日

市民に役立つ技術士へ

  ダムや道路や鉄道などの公共物の地質や環境を調べてきたが、最近では市民に役立つ調査や相談が多くなってきた。日本が、成熟してきて社会資本の整備が整ってきたのか、国の予算がなくなってきたのかどちらかであろう。しかし、市民に役立つことをすると気持ちが良い。本当に困っているからで、それを解決すると感謝される。ダムや道路や鉄道などではスケールは大きいが、与えられたことや解決しても何か将棋の駒のような気がする。

2012年3月28日水曜日

地盤リスクマネージメント

 総合技術監理部門の技術士には,経済性管理・人的資源管理・情報管理・安全管理・社会環境管理の総合的な技術監理が求められる。技術は,突発的な災害リスクや施工時のリスクなど様々なリスク・責任の一端を担っている。その対応のしかたとしては,技術的な解決だけでなく,関係者間の調整や保険・補償・法令・裁判を含めた解決を余儀なくされることがある。こうした中で,技術は,調査・設計・施工・維持管理時などの様々な機会に地盤リスクを実務の中で解決していかねばならない
 問題等が発生したら現場に出向いて確認する姿勢が大切である。地盤リスクについて適確に対処するのみならず,狭い専門分野にとどまることなく,広く市民に向かって貢献していくことも求められている。これが、総合技術監理部門の技術士の仕事である。

2012年3月26日月曜日

治山事業

流域の総合治山の調査を行い,先に述べた研究成果を取り入れて,山地荒廃状況に合わせた治山計画を立案した。いずれの地域も根系層崩壊を発生させる地盤特性があり,これらの地盤に適した実務的な治山施設の配置や森林整備の方法について技術的な検討を行った。
 森林整備には長期的な視野に立った検討が必要である。今後,森林植生と人工構造物についてその適用性を考慮し,総合的な減災・防災計画を検討していくべきであろう

2012年3月24日土曜日

植生による斜面安定

 我が国の斜面崩壊の90%をしめる表層崩壊について,根系の緊縛効果と杭効果が,防災対策になっていることがある。根系を含めた表層斜面の安定を工学的に評価する手法として,粘着力合算法を提案した。この手法により,根系層崩壊の発生メカニズムを求め,森林根系が表層崩壊防止にいかに寄与できるか工学的な解釈を行った。その1つに、土層検査棒による調査と鉄根打設工法による対策工の開発があった。森林部門の技術士の仕事の1つである。

2012年3月22日木曜日

建設事業

建設工事では切土中にすべりが発生したり,山留め工が変形することがある。その際,的確な地盤情報を入手する調査を行い,その対策案をすぐに提案することが求められる。また,現場作業では,周辺の生活環境にいろいろな影響を与えることが多い,地盤工学の技術はこれらを解決するものでもある。たとえば,建設現場の周辺の地盤が沈下した際,その理由を地盤の地質構造で解決した。
 さらに,臨海部の工場の地盤が隆起した際,その原因を地盤内の特殊な鉱物にあることを突き止め解決した。このように,建設事業に係わるいろいろな相談事が寄せられ,それらに対応するのが、建設部門の技術士である

2012年3月20日火曜日

風変わりな地すべり対策

地すべりの調査は多くやった。この中で、急を要したちょっと風変わりな事例を紹介する。道路切土をしていたところ、切土上方の斜面にクラックが入り、段差が出来てきた。明らかに地すべりの兆候である。すぐ工事をやめ、切ったところに押さえ盛り土をしてとめた。しかし、道路は作らないといけないので、押さえ盛り土は除去しないといけない。調査をして地滑すべりの原因をしらべた。すると切土背後の地下水が異常に高い。不思議である。踏査すると。粘土化した貫入岩が道路と平行して分布し、その背後にたくさんの地下水があることがわかった。
地すべりには、いろいろな対策があって、土を動かしてとめる。水を抜く。杭やアンカーの構造物でとめる。このときは、水を抜くことで止められるのでないかと考え、ためしに、重機で道路に平行してすぐ山側地下に伸びている粘土化した貫入岩を、道路に直交方向に貫入岩を切るように掘ってもらった。すると大量の地下水が出て、地すべりが再度動き出すことはなかった。
経済的で簡便な地すべり対策であった。

2012年3月18日日曜日

地下水の影響

トンネルを掘るとが起こることがある。特に、トンネル掘削中は邪魔になる地下水を意識的に抜くのでなおさらである。日本で近代的なトンネル掘削のさきがけになった丹那トンネルではトンネル直上にあった丹那盆地の井戸や河川水が涸れ、大きな問題になった。当時、そのような事例は少なく、井戸枯れがトンネル掘削に原因があるとわかるまで多くの時間を要している。その後のいろいろな経緯はあるが、現在はトンネル掘削では、事前に河川水量や井戸水の調査を行い、その対応をすることになっている。トンネル掘削後はある程度地下水は戻るので、水涸れは緩和する。
では、地表にある植物はどうなるか、今のところトンネルを掘って木が枯れたという話は聞かない。植物は天水から供給される土壌の中の水を使っているので枯れないのであろう。

2012年3月8日木曜日

メコン川を泳ぐ

 タイの森林破壊の環境調査に行った。タイ東北部の高原地帯で大きな都市はないが、メコン川が流れている。高原を削って流れる流域で水は比較的きれいだ。メコン川の河岸のホテルに泊まった。熱帯雨林の中に忽然と現れたホテルである。ホテルのプールで泳いだついで、隣のメコン川に飛び込んだ。大きな鯰が取れるという。魚は、見えなかったが、面白い経験であった。
 タイの首都のバンコクのメナム川はさすがに泥水で、時々ワニを見かけた。地元の子供たちは泳いでいたが、さすがに遠慮した。

2012年3月6日火曜日

トンネルの地質

トンネルを堀る時、地質を調べるのが重要である。なぜか、トンネルの掘りやすさ、堀にくさがわかるし、致命的事故を事前に予測できる。致命的事故とは、切羽(トンネルを掘っているまさに最前線のところで、ここが一番危ない)の崩壊や突発湧水である。また、トンネルから恒常的にどれくらい水が出るかも大体予想できる。
 地質調査をしても実際に掘ってみると調査予測がなかなかあたらないという苦情をよく聞く。1つは深い地質情報を地表付近の情報からなかなか予想がむつかしいということ。2つ目は、変動帯の地質構造は複雑で、なかなか把握できないといくこと。3つ目は、外れているといったほうが、トンネルやさんの儲けが増えることが多いなどである。
 2つ目については、地質技術に関することなので、少し掘り下げる。やわらかい岩の中にランダムに堅い岩が出現する混在岩についての知識はトンネルやさんにもかなり浸透してきたが、深くにあるやわらかく水の出やすい低角度断層を伴うデュプレックス構造はまだ、あまり知られていない。このような変動帯特有の、トンネル工事を惑わせる地質構造などを今後紹介していくべきであろう。

2012年3月4日日曜日

マムシと目が合う

山を歩いていると、蛇にはよくあう。2m近い青大将は山里に多く、ヤマカガシは山、特に、沢そいでよくあうが、そういやではない。いやなのが、マムシである。山里にも山の中にもおり、大体休みたいなと思うようなところにいる。ガレ場や水場の近くである。歩いたいた足元のすぐ近くにいたこともあるが、大体踏まないがぎり大丈夫である。とぐろを巻いているとき、子持ちのときは要注意である。かなり攻撃的であるので近寄らないようにしたい。
 あるとき、15mくらいの崖を登りきって、崖上に顔を出した際、ちょうどそこにいたマムシと目があった。これにはびっくりしたが、そーっと崖下に退散して、難を逃れた。マムシはこわい。

2012年3月3日土曜日

ウサギの反撃

山の中を調査しているといろいろことがある。日本でも有名な地すべり地を調査していたとき、狭い沢を露頭を探して歩いていた。するとウサギが飛び出してきた。ウサギには面白い習性がある。1回目に物音を聞いたときには、じっとして動かない。2度目に物音があるとそのとき、見つかったと思い脱兎のように逃げる。山で23度そのような経験をしている。猟師さんは、その習性を知っていて、一度わざと物音をたてて、ウサギをとめてから仕留めるそうだ。
 今回は、どうも1度目の物音を立てたとき、こちらが、ウサギを見つけられなくて2度目の物音を立てたときウサギが飛び出し逃げていってようである。私は猟師でないのでウサギを捕るつもりはないので、なんとはなしに露頭を探しながら、さらに狭い切り立った沢を降りていった。
 すると、突然、砂防ダムが現れた。両岸絶壁で正面に5mくらいの砂防ダムである。ウサギは、その砂防ダムの隅っこに身を縮めていた。ちょうどそこに、調べていた露頭があり、地質調査をしないといけない。ウサギを捕るつもりはないが、そこに近づいていった。逃げるかなと思っていたら、2mくらい近づいた時、私に向かってダッシュしてきた。とっさであったので、びっくりし身をよけた。ウサギはそのまま、狭い沢を脱兎のごとく上流に去っていった。
 さてさて、私は、待望の露頭を前にして地質調査である。窮鼠猫を咬むはありである。