保険会社からの相談もあった。大雨で崖が崩れて下の家が壊れてしまった。家の損害保険のオプションで支払いに応じる可能性が出てきたのだ。もちろん、崖の所有者は保険加入者で崖の上にお住まいである。支払いに応じるには崖の管理責任を問うことになる。保険会社も家のことはわかるが、地盤、特に崖のことは皆目検討が付かないようである。都内の弁護士さんと事件がおこった地方都市の弁護士さんが問題解決にあたっていた。
とにかく、新幹線で4時間かけ現場を見ることにした。私は、いつも現場主義である。回答はいつも現場にあり、それを見つけだし、解き明かしていく。いろいろと地盤や気象・地形・地質・土地利用などを調べていくと大体の方向が見えてきた。
これも裁判になっていたので、意見書にまとめて裁判所に提出した。要点は、豪雨は記録的なもので、人の管理が及ばないものである。地形・地盤的に水の集まりやすいところで崖だけの管理責任は問えない。ということである。
しばらくして、意見書のおかげで、支払いはかなりの減額で済んだという知らせが来た。
自然を相手にしていると、どうしても人智の及ばない事象に出くわしてしまう。それは、免罪符にしていけないが、科学の進歩と人の生き方の交差点で歩みを止めてはいけないのだろう。
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