山へ行くのは好きだったが、何で海に潜るようになったか。会社に入ってから本州四国連絡橋の仕事もやるようになった。我が国でも始めても長大橋の連続で大水深での工事も多い。海で囲まれた四国を本州とつなぐ始めての橋である。地質調査でも未知のことが多く、新しい測定機器の開発や測定・調査方法を模索しながらの毎日である。苦しいけれど得ることも多い。特に、海底にある橋の基礎となる岩盤をどのように評価するかも問題となった。地上の大きな構造物の基礎岩盤は、掘削してその岩盤を目で見て、ハンマーでたたいて評価する。
本州四国連絡橋でもそのようにしようと言うことなったが、何せ、橋の基礎は海の底である。水深30m、50mのところもある。これは大変だ。という訳で、潜水士の免許を取って海の底にもぐことになってしまった。もぐりの人生である。瀬戸内海では、水深10mを越えると真っ暗になる。大きなライトを沈めてもらう。海底ではマリーンスノーという微生物の死骸が降ってくる。幻想的だ。でもぐずぐずしていられない。橋の架かるところは大体、瀬になっていて潮の流れが速い。潮どまりを狙っての潜水である。あっという間に時間がすぎる。時には、背中のボンベの空気が水中でなくなり、緊急のコックを引いて難のしのいだこともある。さすがに、このときは女房の顔が目に浮かんで、水面へ這い出せた。
最近では、大河川の堰の洗掘や海の防波堤基礎の確認などで海に潜っている。歳のせいもあってきつい仕事だが、透明感のある一人の世界に入れて結構楽しんでいる。技術士として、水中地質調査の仕方についてまとめてみたい気もある。
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