2011年9月20日火曜日

崖崩れとは

 崖崩れは専門的には斜面崩壊と呼ばれていて、表層崩壊と大規模崩壊(最近、深層崩壊とも呼ばれるようになった)にその規模で分けている。その発生の割合は、圧倒的に表層崩壊が多く、深さは1~2mくらいで、幅は510m程度、長さも520m程度と集中豪雨や地震で発生する。急な斜面ではどこでも発生する可能性はあるが、雨では、水の集まりやすい凹状斜面が危険で、地震では逆に地震力が集中する凸状斜面が危険である。地質によっても発生しやすいものがあり、固結度の低い砂層や砂状の地盤になりやすい花崗岩や粘土化しやすい泥岩の分布箇所に多い。対策は比較的容易で、斜面内の水を抜いたり、よう壁や法面工などで力で抑えことが可能で、場合によっては、植生を生かした保護工なども利用できる。
 それに対して、深層崩壊は深さが10m以上で、場合によっては50mや100mに及ぶものもある。移動する土砂量も1万m3を越えるものを言う。起これば、被害は甚大であるが、発生頻度は少ない。深いすべりであるので、地すべりと同じく、当然地下の地質や地質構造が問題となり、起こる場所の特徴もある。日本では、火山地域や付加体と呼ばれる岩盤がもまれたところに多い。発生の誘因は長雨や大きな地震・火山噴火などである。
 ただ、地すべりのところでも述べたように、初生的のものが多く危険な地域を広域に示すことは出来ても、今のところどの斜面で起こるか限定することがむつかしい。しかも、一旦崩壊すると、土量が多いので被害が甚大でるうえ、土砂ダム(今までは天然ダムといっていたが中越地震災害を契機に呼び方を変えてきている)ができて、その決壊による大規模土石流の発生など複合的な災害をもたらすので、厄介である。対策も避難などのソフト対策が中心となり、ハード対策は規模にもよるが経済的に考えて妙案は少ないのが現状である。
 都市部でもっぱら問題となるのは、崖の表層崩壊やそれに伴う落石である。規模は小さいが、人家が崖に接近してしているので、非常に危ない。私の住んでいる横浜市内にも危険な崖は残っており、テレビ番組で話したようにしばしば問題となる。都市は自然災害に対して一見、安全なように思われるが、まだまだ、隠れた危険があることを認識して欲しい。地すべりのところで言い忘れたが、都市の中に隠れた谷埋め盛土も地震のとき滑り出す危険があり、要注意である。
 次回は、斜面災害として残った落石や土石流について述べるつもりである。

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