今回は、深山で野生サルと出会った話である。富山県の山深くには野生のサルが多い。道路が山の深くまで入っているものがあり、その道路沿いで出会ったサルは、人に会うとやや控え目に逃げる。
道路からおりて、山の中に歩いて入っていくと様相は一変する。たまたま夕暮れに近くなったが、まだ、山の中を歩いていたとき、山の木々が急に揺れだした。何だと思って回りを見渡すと、どうやら野生ザルの群れのちょうど真ん中にいるらしい。地質調査に集中していたので、不意を付かれた格好である。しかも、そこが群れのねぐらで、今日はここで眠るらしい。どうしたものかと考えていると、ボスザルとおぼしき屈強なサルが木からざーと下りてきた。おおと思って対峙すると、ぎゃぎゃとかなりの勢いて威嚇する。
これは困った。もう少し先に目指す地質の露頭がある。調べたい。しかし、ここは、群れのねぐらである。ボスと話し合いをすることにした。ここを通してくれないか。しかし、ぎゃぎゃとダメだといっているようである。仕様がないので、今日のところはボスをたてよう、このまま帰るが、明日は来るからなと、ハンマー(地質屋の心)を前に出し、わかったかーと怒鳴り返して、和解した。
いってみれば、体のよい撤退であるが、致し方ない。野生ザルの地元では、彼らも強い。
0 件のコメント:
コメントを投稿