これからしばらくの間、技術的な話をします。出来るだけやさしい言葉で書きますが、退屈な方は読み飛ばしてしてください。
最近、要不要の論議のあるダム。ダムの地質調査は、当時(20から30年前)全盛で、地質調査の花形であった。現在、コンクリートから人へという考え方もあるが、ダムは、すべてコンクリートで出来ているわけではなく、土のダム、石のダムなどもある。どのダムも大きな躯体の強度を保証するだけでなく、作るには、コンクリートの知識、石や岩の知識、土の知識が必要です。しかも、水を溜めるので水理の知識が重要です。また、付帯的に道路やトンネル・橋を作るのでこれらの技術も知っていないといけない。道路を切り開く時や水を溜めたときには、地すべりが起こることもある。地形や地質をよく知ってこれらの不安要因を事前に取り除いていかないといけないので大変だ。
最近では、建設時あるいはその後の周辺の自然環境や社会環境への影響も事前に予測して対処することも強く求められる。動物への影響、植物への影響、気候への影響、もちろん人への影響もある。多くの方が移転を余儀なくされるときには、十分な計画が必要になる。ダム湖が出来てからは、その水質の維持や水温の変化をみたり、堆砂する土砂をどのように軽減するかも悩ましい問題である。
先ほど、ダムの地質調査は、調査の花形であるといいましたが、それは、まさにこれらの総合的な問題をダム通じて解決することを求められるからである。ダムの要・不要の問題はさておき、日本の地質は複雑で断層などの弱層が多い。地形も急峻で雨や地震・火山噴火が多い。このような自然条件の中でいかに安全なダムを経済的にも環境的にも有効に作っていくかを技術士は問われ続けている。
このような総合的な技術は、ダムだけでなくいろいろな地盤技術に適用できるので、今後もダムを経験した技術士の活躍の場は多いと思っている。
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